2010/03/27

偽造品被害の程度をどう評価するか

前回の投稿で、「(偽造品・模倣品による)被害を認識しながら相当数の企業が対策を打たないのは疑問」という趣旨のことを書いたところ、「(対策を講ずるコスト)≧(損害)であれば、対策を講ずるインセンティブがない」というコメントを頂きました。まさにその通りというべきでしょう。但し問題は、(対策を講ずるコスト)≧(損害)と判断する際に右辺と左辺の値を正確に測れているかということです。今回は右辺、すなわち損害の評価について考えてみましょう。

まず、数量的な問題。「発見されている偽造品の数量が少なく、金額的にもたいしたことがない」という場合は確かにあるでしょう。でも単純に発見済みの数量だけで被害が測れるでしょうか。偽造業者も商売ですから通常の場合一定の量を生産しないと割に合わないはずです。「ゴキブリを一匹見たら…」の例えもあるように暗数の可能性を考慮すべきでしょう。必要であれば調査活動を行って、なるべく正確な偽造品の量とこれによる被害額を検討・推測すべきと思います。

次に質的な問題。例えば「・・・・牛」という地域団体商標を取得したブランド牛を想像してください。少量であっても不味いニセモノが出回れば、これを知らずに食べた消費者は「高いくせに不味い」と悪印象を持つでしょう。その悪印象を周りの人に話すでしょうし、ブログに載せる人だっているかもしれません。食品なら美味い・不味いですみますが、これが安全性の重視される商品ならどうでしょう。例えば、安全性に問題のある偽造自動車部品が出回って重大事故が起これば、本物の部品に欠陥があったと思われかねません。後にニセモノが原因だったと分かっても、一旦傷ついたブランドイメージを回復するには苦労するでしょう。このようにニセモノを放置すると本物の評判がどんどん悪くなる可能性があります。「損害」の評価にはそのような信用損害の観点も加味すべきと思います。

次の投稿では左辺(=コスト)について考えてみたいと思います。

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