2010/05/25

Wiiに続いてPSPも

前回の投稿で、海賊版ソフトが動くよう改造したWii本体と海賊版ソフトをセットで販売して逮捕された男のニュースをご紹介しましたが、PSPでも同様の事件があったようです。

改造PSP本体に海賊版ソフトを“おまけ”、オークションで販売の男性逮捕」 2010/5/24 INTERNET Watch

やはり改造ゲーム機の販売行為自体に刑事罰を課せられるように法改正を急ぐべきように思います。政府もその方向で検討してはいるようですが、実際に法改正が実現するのはいつになることか・・・。なるべく早い対応をお願いしたいところです。

参考:政府知的財産戦略本部・コンテンツ強化専門調査会「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策について-中間取りまとめ-」(注:PDFファイルに直接リンクしています。)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/24

「おまけ」を付けたばっかりに・・・

海賊版ソフトの販売が摘発されたとのニュースは珍しくありませんが、最近、ちょっと興味深かったのがこのニュースです。

海賊版ソフトが動くよう改造したWii本体、“おまけ”付きで販売して逮捕」2010/5/21 INTERNET Watch

インターネットオークションで海賊版Wiiソフトを販売していたというありがちな事件なのですが、実は海賊版ソフトを稼働できるよう改造したWii本体がメインの商品で、海賊版ゲームソフトはその「おまけ」だったというのが面白いところ。おまけである海賊版ソフトについて著作権法違反が適用されたのに、改造Wii本体の販売については違法とされていないのです。

上記記事にもあるように、改造したWii本体の販売について摘発する構成としては、商標法違反の適用が考えられます。ごく簡単に言うと、改造して全く別の商品になってしまっているのに、元の商標を残したままで販売することは、商標の出所表示機能(=商品の出所が商標権者であることを示す機能)や品質保証機能(=商標権者が品質を保証している商品であることを示す機能)を害するから、商標権を侵害するという考え方です。実際、民事事件であれば、改造した真正品の販売が商標権侵害と認定された裁判例は多数あります(例えば、まさに改造ゲーム機の販売について東京地裁平成4年5月27日判決(裁判所HP・PDFファイル))。

とはいえ、刑事事件を念頭に置いた場合、この商標法違反の構成はなかなか使いづらいものがあります。どの程度の改造であれば元の商品との同一性が失われて商標の機能を害することになるのか、改造した商品であることを前提に取引している場合には商標の機能を害することはないのではないか等々、実質的な考量を経ないと商標権侵害が確定できないのでは、捜査機関としても立件がしづらいわけです。また、商標を全て削除した上で販売されてしまえば、そもそも商標権侵害の余地はなく、商標法違反による立件はできません。

海賊版ソフトを稼働できるように改造したゲーム機を販売することは、著作権法違反を助長する行為であることは間違いなく、取り締まるべき必要性はあるものと思います。やはりこのような行為をストレートに摘発できるような法改正を急ぐべきなのではないかと思いますが、皆さんはどう思われますか。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/21

仏具もブランドで選ぶ時代?

地域団体商標の制度ができて以降、地場産業をブランドとして売り込もうという動きが活発化していますが、仏具の世界も例外ではないようです。全国の金物仏具売り上げの九割を占める高岡市の高岡仏具卸業協同組合が、「高岡仏具」の四文字をあしらったロゴマークを使って、次第にシェアを拡大しつつある外国産仏具と差別化を図ろうとしているという記事を見つけました。

高岡仏具 ロゴで発信 業界初 外国産と差別化」 2010年5月20日 中日新聞

ところで上記記事の中で一つだけ気になったのが仏具に貼られるというシールです。記事中の写真を見る限り非常にシンプルなシールに見えますが、偽造防止措置(参考:偽造防止技術を提供する会社の例)は施されているのでしょうか。偽造されて国外産のニセモノに貼られるのではないかと少し心配です。

「仏具の偽造品を作る罰当たりなんているのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、利益が上がるのならば、どんな商品にだってニセモノは出てくるものです。実際、私の経験でも、有名神社の名前を勝手に使った「お守り」を販売していた業者に警告書を送って止めさせたことがあります。

まあそんな心配はともかく、日本経済活性化のためにも地方の産業には頑張ってもらわないといけません。高岡仏具卸業協同組合の意欲的な試みが効を奏して欲しいものです。
 
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/19

並行輸入のリスク -高すぎる授業料- (2)

「コンバース」商標を巡る訴訟の件、以前の投稿で取り上げた後、控訴審判決の判決文を入手しようとしているのですが、今のところ裁判所のウェブサイトにはアップロードされていないようです。

代わりと言ってはなんですが、この件に関する伊藤忠商事のプレスリリースを見つけましたので、URLをご紹介しておきます。

http://www.itochu-tex.net/press_release/10050701.htm

このプレスリリースによる限り、一審判決とほぼ変わらない判断がされたようですね。輸入業者側が上告したのかどうか気になるところです。

また何か分かりましたらご報告します。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/18

短くしたり、長くしたり

Twitterを使っている方には既におなじみと思いますが、短縮URLというサービスがあります(例えば、bit.lyなど)。URLをコンパクトに記載できるので、私も長めのURLをメールで知らせる時などに重宝しています。

一方、リンク先がどんなウェブサイトかURLからは判断できないという危うさも指摘されるところです。例えば「fake」や「replica」という文字が入っているようなURL(このブログも該当してしまいますが(笑))なら偽造品販売サイトかもと考えてクリックしないこともできますが、短縮されたURLではクリックするまで分からないわけです。偽造品販売サイトに飛ばされるぐらいならまだしも、ウイルスを感染させるようなサイトに飛ばされたら目も当てられません。

もちろん、怪しげな短縮URLはクリックしなければよいわけですが、どうしても短縮URLのリンク先が知りたい場合がないとはいえませんよね。というわけで、短縮URLサービスの逆バージョン(短縮URLを入力すると元のURLに戻してくれる。例えば、LongURLなど)も現れているようです。怪しげな短縮URLをクリックする前にお試しを。
 
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

「松阪牛」を守るために

宮崎県の口蹄疫の問題が、実はブランド牛全般の生産にも影響してくるとのことで話題になっています(例えば「【口蹄疫】ブランド牛の危機 種牛も殺処分対象に」 2010.5.18  産経ニュース)。大変深刻な問題であり、早期の解決が望まれます。

一方、ブランド牛を守るという観点からはこちらのニュースにも注目すべきでしょう。少し前のニュースですが、「松阪牛」の三重県内の関係団体が、中国政府に出願した「松阪牛」や「松阪肉」の商標登録を「すでに似たものが登録されているから」との理由で却下されたそうです(「『松阪牛』本家の商標登録、中国却下 『一般的な食材』」2010年5月12日 asahi.com)。

中国・台湾において我が国の地名や地域ブランド等が第三者によって出願登録される事例は以前から報告されているところですが、やはり松阪牛ほどの「有名ブランド」になるとニュースのインパクトも大きいですね。

政府も手をこまねいているわけではなく、例えば特許庁等も情報提供等の支援策をとっています(特許庁HP「中国・台湾での我が国地名の第三者による商標出願問題への総合的支援策について」)。今後、関係者が更に緊密に協力して、日本ブランドを守っていって欲しいものです。  

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/17

ニセモノ対策と技術の進歩

前回の投稿で「行政機関も知的財産侵害事件の立件には熱心になってきています。」と書きましたが、公的機関だけではなく私企業も頑張っています。例えばニセモノ対策技術の進歩を伝えるこんなニュースがありました。

違法コピー動画、瞬時に発見 NEC新技術が国際標準に」 2010年5月7日 asahi.com

ソニー、個別 ID 情報をホログラムで記録可能なホログラム量産技術を開発」 2010年5月7日 japan.internet.com

まず、前者の記事。インターネット上に投稿される動画から、違法コピーを自動で瞬時に見つけ出す技術をNECが開発したというニュースです。従来技術より格段に性能がよいようなので、海賊版の摘発に威力を発揮してくれることでしょう。

次に後者の記事。株式会社ソニー・ディスクアンドデジタルソリューションズが、1枚ごとに異なる個別 ID 情報をホログラムとして記録可能な独自のホログラム量産技術を開発したとのニュースです。 個別IDによって商品の追跡が可能になることは偽造品の抑止・摘発に有効ですが、そのID情報が偽造しにくいホログラムと結びつけば、より一層有用になるといえるでしょう。そのようなホログラムが量産できるのは画期的なことだと思います。

今後、このような新技術を使って摘発される案件も多くなるでしょう。偽造品対策にたずさわる弁護士としても、このような新技術を「法廷で勝つための武器」として活かせるよう、よく勉強しなければならないと思います。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/13

再び、偽造品の輸入販売で一儲けしたい方へ

以前、「偽造品の輸入販売で一儲けしたい方へ 」という題で投稿しましたが、次のニュースを見つけたので、もう一言付け加えておきます。

 「偽ブランド品を販売容疑で逮捕」 (2010年5月12日 読売新聞)

水戸署と茨城県警生活環境課が偽ブランド品をインターネットで販売していた25歳の女を逮捕したというニュースですが、注目すべきはここです。

 「 昨年11月、中国から大量の偽ブランド品が富田容疑者あてに送られてきているとの連絡を東京税関から受け、水戸署などが捜査を進めていた。」(強調は筆者が付加)

どうでしょう。行政機関の素晴らしい連係プレーではないですか。知財立国が叫ばれている現在、行政機関も知的財産侵害事件の立件には熱心になってきています。偽造品を扱っている方、扱おうとしている方、やめておいた方がいいですよ。ある日突然警察官の訪問を受ける前に。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/12

世界最大のオンラインショッピング市場が誕生? (3)

Yahoo Japanとタオバオの提携の件、三回目になってしまいますが、また取り上げてみたいと思います。Yahoo Japanの孫氏は記者会見で「歴史的な日」と述べたようですが、大げさとは思えません。何度も取り上げる価値のあるニュースではないでしょうか。

前回前々回の投稿では、この件について「知的財産権侵害物品への配慮は大丈夫か」というネガティブな面からの感想について述べましたが、もっとポジティブな面にも目を向けるべきだという気がしてきました。

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/05/11/036/index.html


相互提携ですから当然ですが、上記記事にもあるとおり日本の事業者にしてみればYahoo!ショッピングに出店することで、容易に中国のオンラインショッピング市場に向けた販売機会を得られるわけです。「日本製」という一種のブランドは、中国でのオンラインショッピングにおいて、特に富裕層に対して訴求力があるとの調査結果もあるようです(「中国EC:『“日本製”に購入意欲』高収入層で顕著に」 2009/12/10 サーチナ)。また、中国というとニセモノの氾濫といった話題が取り上げられがちですが、豊かになるにつれて「本物志向」は確実に高まっているといいます。中国の消費者にしてみれば日本のメーカーから本物を直接購入できるようになる今回の提携は大歓迎なのではないでしょうか。資金・人材・経験その他の都合で中国市場への進出に二の足を踏んでいた日本の企業(特に中小企業)にとっては大きなチャンスかもしれません。

仮に日本企業から中国消費者への販売が増えてきた場合、日本製の偽造品が輸出される例も増えてくるのではないかと思っています(他社商品の中国市場での人気に目を付けた日本企業が「日本製」を前面に出して偽造品を輸出するといったことを想定しています)。これまで知的財産侵害物品の「輸出」については、あまり目が向けられてきませんでした。実際、税関における輸出入差止申立制度も輸入については膨大な件数が申し立てられているのに対し、輸出については本年5月1日時点で2件のみです(日本関税協会 知的財産情報センターのHP参照)。しかし、今後は「輸出」差止申立も重要性を増していくかもしれませんね。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/11

世界最大のオンラインショッピング市場が誕生? (2)

ヤフーが「Yahoo!ショッピング」と「淘宝(タオバオ)」の取り扱い商品を相互取り引きできるサービスを開始する件について、前回の投稿でご紹介したのとは別の記事を色々と読んでみました。



前回の投稿では「知的財産権侵害物品を排除するための方策がどの程度とられるのか心配なところですが、その点は記者会見で言及されなかったらしく、・・・」と書いたのですが、上記引用記事を読むと画像のキャプションに「タオバオには“偽iPad”も多数出品されるなど、コピー商品や偽ブランド品の取り扱いも多い。そういった商品は日本からは購入できない仕組みを構築するという」との記述がありますので、記者会見等で何らかの言及はされたようですね。

いずれにせよ「注文方法や手数料など詳細は、6月1日に日本で発表する。」とのことですので、その際の説明に期待したいと思います。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

世界最大のオンラインショッピング市場が誕生?

ちょっと前に前回の投稿を行ったばかりなのですが、注目すべきニュースがあったので簡単に触れておきたいと思います。

Yahoo!ショッピングと中国・タオバオが提携、商品を相互販売 -INTERNET Watch

ヤフーが、中国アリババグループのインターネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」と業務提携し、「Yahoo!ショッピング」と「タオバオ」の取り扱い商品を相互取り引きできるサービスを6月1日に開始するそうです。

日本の消費者が中国の業者から直接商品を購入する機会が格段に増えることは間違いないでしょう。知的財産権侵害物品を排除するための方策がどの程度とられるのか心配なところですが、その点は記者会見で言及されなかったらしく、上記記事でも触れられておりません。税関で止められる物品が続出することにならなければよいのですが・・・。今後の展開を注意深く見守りたいと思います。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします

2010/05/10

並行輸入のリスク -高すぎる授業料-

偽ヴェルサーチ販売業者らに賠償18億円、米ロサンゼルス」という記事を見つけて、損害賠償額の高さに「さすが米国」などと感心していたところ、ちょうど日本でも次のようなニュースがありました。

商標権訴訟:伊藤忠への損賠支払い命じる 知財高裁

米国から「コンバース」ブランドのスニーカーを輸入して日本国内で販売していた株式会社ロイヤルに対して、日本において「コンバース」スニーカーに関する商標権を保有する伊藤忠商事(及びその子会社等)が商標権侵害を理由に訴訟を起こしていたところ、一審に引き続き、控訴審である知財高裁でも伊藤忠側が勝訴したという内容です。記事の中で損害賠償額は示されていませんが、一審である東京地裁の判決(こちらからPDFで全文を入手可能です。残念ながら今回の知財高裁判決はまだ裁判所のサイトに掲載されていないようです。)では、ロイヤルが伊藤忠商事の子会社等に対して総額約8億円を支払うこととされていますので、高裁でもかなり高額の損害賠償が認められたものと思われます。

もっとも、一審判決を見る限り、こちらの事件は冒頭で紹介した米国のヴェルサーチの件とは違って、全くの「偽造品」を販売した事案というわけでもないようです。一審判決によると、ロイヤルは自らの輸入した商品は米国のコンバース社が製造した(=すなわち本物の)「コンバース」スニーカーであると主張し、自らの輸入販売行為は「真正商品の並行輸入」として適法であると主張しました(輸入行為がいわゆる「真正商品の並行輸入」として適法とされるための要件については最高裁判所平成15年2月27日判決をご参照ください)。しかし、一審裁判所は、米国のコンバース社と日本における商標権者である伊藤忠商事の間には法律的にも経済的にも同一人と同視し得るような関係は無いので、上記最高裁判決が示した要件のうち少なくとも一つは満たされていないと判断し、ロイヤルの主張を認めませんでした。大ざっぱに言えば「仮に米国の商標権者が商標を付したという意味において『本物』のスニーカーであったとしても、米国の商標権者と全く関係のない者が日本で商標権を保有している以上、日本の商標権者の許諾無しにそれらのスニーカーを日本国内に輸入することはできませんよ。」ということです。詳細は判決文を入手してからでないと何とも言えませんが、控訴審の知財高裁も同様の判断をしたものと思います。

ロイヤル側もある程度自らの行為の適法性に自信があったからこそ輸入販売を継続し、だからこそ損害賠償額が拡大したものと思いますが、結果的には見通しが甘かったということになるのでしょう。高すぎる授業料になりそうですね。

(2011年8月1日追記)
この投稿へのアクセスが多いようですので新たにコンバース商標と並行輸入の問題について書きました。こちらもご覧ください。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑よろしければクリックをお願いします。

2010/05/06

Retweetボタンを設置しました

試験的にRetweetボタンを設置してみました。Twitterに参加している方はどうぞご利用下さい。

色々なサイトを読みながら試行錯誤したのですが、なかなか思ったような場所に思ったようなデザインのボタンが設置できず苦労しました。実は現在のセッティングにも100%は満足していないのですがしかたありませんね。ちなみに以下のサイトが一番参考になりました(但し、英文です。)。http://www.bloggerplugins.org/2009/08/retweet-button-for-blogger.html

このブログはBloggerというブログサービスを使っており、個人的には使いやすいと思っているのですが、日本語での情報の少なさが難点と言えば難点ですね。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

2010/05/04

リンゴは何にも言わないけれど・・・

既に一週間ほど前のニュースになってしまいましたが、アップル社の製品が大手家電小売店の通販サイトで販売中止になっているそうです(「安売りで出荷停止なら問題」アップル製品ネット通販停止、公取委も注視・2010.4.27 19:38 SankeiBiz)。アップル社の意図は今のところ不明ですが、Amazon などではネット通販が継続されているとのことですので、インターネット上の販売チャンネルを一定のサイトに絞り込もうとしているのかもしれません。

しかし、メーカーが小売業者に対して販売方法を制限する行為は、場合によっては「不公正な取引方法」(「拘束条件付取引」等に該当)として、独占禁止法に反することになります。ちなみに、公正取引委員会における過去の相談事例集には、「メーカーが、販売店に対しインターネット販売において小売価格を表示しないよう制限することは、独占禁止法上問題となると回答した事例」が存在します。仮にアップル社が大手小売店に対してインターネット販売を一切行わないように指示したのだとすれば、その制限自体の程度は上記相談事例よりも強度なものといえるでしょう。アップル社が仮にそのような制限を大手小売店に課したのだとすれば、いかにしてこれを正当なものとして根拠づけるのか興味深いところです。

もっとも、上記相談事例は、「販売店がホームページ上に小売価格を掲載すれば、ユーザーは複数の販売店の価格情報を知ることができるようになり、この情報を基に取引先を切り替える可能性がある」ので、「販売店間でユーザーの争奪が行われることを回避するために、販売店がホームページ上に小売価格を掲載しないよう制限する」という、競争抑制目的での制限であることを前提とした事例でした。アップル社は当然ながらこのような目的を表明しておりませんので、単純に上記相談事例と対比することはできないでしょう。あるいは、「今回の措置でAmazon等が競争力を高めることとなり、実店舗で販売を行う小売業者との競争がむしろ活発化するので、公正な競争を阻害することはない」といった理屈が成り立つのかもしれません。

いずれにせよ現段階ではアップル社も大手小売店側も詳しいことについてノーコメントのようですので、両社間でどのようなやり取りがあったのか分かりません。偽造品・模倣品対策においても独占禁止法との緊張関係は問題となるところですので、私としても非常に興味をそそられる事案です。今後の推移を関心をもって見守りたいと思っています。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士

へ
にほんブログ村
↑ よろしければクリックをお願いします