2010/05/04

リンゴは何にも言わないけれど・・・

既に一週間ほど前のニュースになってしまいましたが、アップル社の製品が大手家電小売店の通販サイトで販売中止になっているそうです(「安売りで出荷停止なら問題」アップル製品ネット通販停止、公取委も注視・2010.4.27 19:38 SankeiBiz)。アップル社の意図は今のところ不明ですが、Amazon などではネット通販が継続されているとのことですので、インターネット上の販売チャンネルを一定のサイトに絞り込もうとしているのかもしれません。

しかし、メーカーが小売業者に対して販売方法を制限する行為は、場合によっては「不公正な取引方法」(「拘束条件付取引」等に該当)として、独占禁止法に反することになります。ちなみに、公正取引委員会における過去の相談事例集には、「メーカーが、販売店に対しインターネット販売において小売価格を表示しないよう制限することは、独占禁止法上問題となると回答した事例」が存在します。仮にアップル社が大手小売店に対してインターネット販売を一切行わないように指示したのだとすれば、その制限自体の程度は上記相談事例よりも強度なものといえるでしょう。アップル社が仮にそのような制限を大手小売店に課したのだとすれば、いかにしてこれを正当なものとして根拠づけるのか興味深いところです。

もっとも、上記相談事例は、「販売店がホームページ上に小売価格を掲載すれば、ユーザーは複数の販売店の価格情報を知ることができるようになり、この情報を基に取引先を切り替える可能性がある」ので、「販売店間でユーザーの争奪が行われることを回避するために、販売店がホームページ上に小売価格を掲載しないよう制限する」という、競争抑制目的での制限であることを前提とした事例でした。アップル社は当然ながらこのような目的を表明しておりませんので、単純に上記相談事例と対比することはできないでしょう。あるいは、「今回の措置でAmazon等が競争力を高めることとなり、実店舗で販売を行う小売業者との競争がむしろ活発化するので、公正な競争を阻害することはない」といった理屈が成り立つのかもしれません。

いずれにせよ現段階ではアップル社も大手小売店側も詳しいことについてノーコメントのようですので、両社間でどのようなやり取りがあったのか分かりません。偽造品・模倣品対策においても独占禁止法との緊張関係は問題となるところですので、私としても非常に興味をそそられる事案です。今後の推移を関心をもって見守りたいと思っています。

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