2010/08/27

中国の「政策転換」に思う

先日、経済産業省が「第7回知的財産保護官民合同訪中代表団(ハイレベル)派遣の結果概要について」という資料を発表しました。これによれば、平成22年8月17日(火)から19日(木)までに行われた官民合同訪中団の派遣に際して、中国政府機関に対して模倣業者の再犯行為、インターネット上での知財侵害、知財に関する司法保護の強化等について建議を行ったところ、中国側から前向きな対応を行う旨の回答を得たそうです。

これについては日刊工業新聞もフォローしており、28日から北京で開かれる日中ハイレベル経済対話でも、直嶋正行経産相から取り組みの強化を申し入れる旨が報じられています。

経産省、中国の政策転換周知-知財保護で協力」 2010年08月27日 日刊工業新聞

知財の実効化に向けた中国の変化は歓迎すべきであり、中国側から前向きな回答を得るために努力された経産省その他関係者の方々の努力には敬意を表したいと思います。

ただ、中国はWTO加盟国であり、TRIPS協定を遵守しなければならない立場です。「知財制度を実効的なものとするのはそもそも当然の国際的義務なんじゃないの?」と、思ってしまうのは私だけでしょうか。

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2010/08/24

ネットオークション:運営者側の偽造品対策に思う

Yahoo! Japanの競売サイト「ヤフーオークション」(以下、「ヤフオク」)で同じ出品者の商品につき偽物だとの苦情が7月以降百数十件も寄せらているそうです。

ヤフオク届いたら『偽物』 同じ出品者、苦情100件超」 2010年8月18日 asahi.com 

ヤフオクに限らずネット上のサービスは必要な作業の多くを利用者自身に行わせ、運営者は基本的にシステムを提供するのみであることが多いようです。そのような運営が可能であるところにインターネットを使った事業のうまみがあるのですから、当然のことかもしれません。ただ、それにしても苦情が百数十件にも至る前に運営者側からアクションが起こせなかったのかという気はします。

もちろん運営者側も偽造品を始めとする違法商品に手をこまねいているわけではなく、例えばヤフオクでは「Yahoo!オークション 知的財産権保護プログラム」という制度を用意し、知的財産権侵害品を排除しようとしています。

しかし、これも権利者側からの申告を待って問題ある出品者を排除するという基本的に受動的なものです。インターネット事業の特性が前述のようなものであることは理解しているつもりですが、ネットオークションにおいては運営者側がもう少し能動的に関与してくれれば、もっと効果的に侵害品が抑制できるのではないかと思います。例えば、購入者からの苦情が一定数(又は一定割合)に達した場合にはオークション運営者から権利者(商標権者等の知的財産権保有者)に対して当該出品者の情報(ID等)を通知するといったように、運営者の側から権利者に対して対応を促すシステムがあってもよいように思います。その程度ならある程度自動化して人手を掛けずに対応することができそうな気もするのですが、難しいんでしょうかね。

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2010/08/17

ワカメとウナギの次は?

先日、ワカメの産地偽装について投稿したばかりですが、今度はウナギの輸入元を偽装したという事件が報道されています。

ヨーカ堂、中国ウナギ輸入元改ざん・転売の疑い」 2010年8月17日 読売新聞

輸入元の偽装というと何となく産地の偽装よりはマシのような印象を与えますが、必ずしもそうではありません。商品に問題があった際の責任の所在を不明にしてしまう行為であり、厳しく糾弾されるべきことに変わりはないと思います(ちなみに製造物責任法では、製造者・加工者とともに輸入者もまた「製造業者」として製造物の欠陥によって生じた損害につき責任を負うこととされています。農林水産物も加工されていれば「製造物」として同法が適用されると解されているところ、上記記事のウナギは蒲焼きにされているようなので適用対象になる考えてよいでしょう。)。徹底した捜査によって背景をきちんと解明してほしいものです。

ところで、私は酢の物が好きで、ワカメとウナギといえばこんな料理が思い浮かびます。今後、キュウリにまで偽装事件が発生しないことを祈るばかりです(笑)。

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2010/08/13

ブラジルの人聞こえますか~

以前の投稿で、本ブログについてアクセス解析をやっていると書きました。日本語で書いたブログなので当然国内からのアクセスがほとんどなのですが、海外からのアクセスもちらほら見かけます。最近なぜかブラジルからのアクセスが何度か続き、どんな人が地球の裏側からこんなブログを見ているのだろうと思って楽しくなりました(もちろんアクセス解析ではユーザーを特定することはできません。念のため。)。

ブラジルの方、もしよろしければコメントを残して頂けると幸いです。

そういえば「ブラジルの人聞こえますか~」というギャグがあったなと思いつつ、そのキーワードでGoogle検索してみたらこんな記事を見つけました。ブラジルの人も日本に対して同じように思っているようです。面白いですね。

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2010/08/11

たまには自社の商標をググってみよう

先日、Googleは欧州における「AdWords」の商標ポリシーを変更し、広告主が他社商標を検索キーワードとして購入することを可能にしました(「AdWords」の仕組みがよく分からない方は、まずこちらをご覧下さい。)。

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/08/05/021/index.html


ご承知の方も多いと思いますが、GoogleはこのAdWordsに関して商標権侵害であるとの訴訟を起こされていました。すなわち、特定の商標を検索キーワードとする検索結果画面において当該商標の権利者以外に広告表示を行わせるのは商標権侵害であると主張されていたのです。そして、フランスの裁判所はかかる主張を容れてGoogleの商標権侵害を認める判断をしていました。そのような経緯もあって、GoogleはヨーロッパではAdWordsの運用において厳格なポリシーを適用し、広告主が他社の商標を検索キーワードとして購入できないようにしていたのです(上記引用記事にもあるように日本やアメリカでは以前から他社の商標を検索キーワードとして購入可能)。

ところが、上記引用記事にあるように、今年の3月に欧州司法裁判所(=EU法についての最高裁のようなもの)が、「Googleが商標を保有者以外の企業に販売することは商標侵害ではない」とする判断を行ったため、今回のポリシー変更に至ったわけです。

実は他社の商標をキーワードとする検索連動広告は、偽造品販売業者等にもしばしば用いられるところであり、Googleに対して訴訟を起こしていたルイ・ヴィトンもその点を指摘していました。この点、上記欧州司法裁判所の判決も、広告は消費者の混乱を招かないようなものであるべきとしており、商標権者側に一定の配慮をしています。上記引用記事中でGoogleが「自社商標が他社に選択されたことで消費者が混乱していると感じた場合は苦情申し立てを受け付ける」としているのは、この点を考慮したものでしょう。なお、前述のとおり、日本ではもともと他社商標を検索キーワードとして購入することが可能です。時折、自社保有商標について検索エンジンにかけてみて変な広告と連動していないかチェックすることも必要ではないかと思います。

ところで余談ですが、弁護士も他の有名法律事務所の名前を検索キーワードにして検索連動広告を打てば効果的なのではないかと思いまして、試しにいわゆる四大法律事務所の名前をGoogleで検索してみました。しかし、少なくとも本日の時点では、これらをキーワードとした広告は行われていないようです。やはりこの業界はそこまで競争が進んでいないのかな・・・と思ったのですが、ふと思い返してテレビCMで有名ないくつかの法律事務所の名前で検索したところ、やっぱり広告してました。しかも各事務所相互に広告を打ち合っているようです。さすがだなと思いました。

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2010/08/09

ホンモノの漫画でニセモノ退治

世界知的所有権機関(WIPO)の日本事務所が面白い試みを行っています。「ホンモノ」漫画コンテストと称して、模倣品対策のための啓蒙漫画を作成する漫画家を募集するとのこと。詳細は以下のサイトをご覧下さい。

http://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/outreach/manga/

優勝者によって制作される漫画作品は少なくとも6カ国語(英語、仏語、中国語含む)以上に翻訳され、世界中に無償で配布されるそうです。世界デビューできるチャンスになりますから、プロの漫画家にとっても応募する価値のあるコンテストになるのではないでしょうか。

個人的には、弁護士、弁護士に雇われた調査員(主人公)、偽造品業者、偽造品業者のバックにいるマフィア等々が登場するハードボイルドなストーリーを、寺沢武一先生のような絵で描いてあったら読んでみたいなと思うのですがいかがでしょうか。もっとも、それだと「ニセモノ(模倣品)の粗悪な品質、あるいは、ニセモノの健康、安全に関する懸念とともに、本物の持つ素晴らしさについてふれた啓蒙漫画」を作ろうというコンテストの趣旨とはちょっと方向性の違う作品になりそうですね。

いずれにせよ「ホンモノ」の漫画というにふさわしいクオリティーの高い作品を期待したいところです。楽しみに待ちたいと思います。

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2010/08/03

ふえる"偽装"わかめちゃん

 先月、「ふえるわかめちゃん」で有名な理研ビタミンは、国内産わかめ(鳴門わかめ)として製造している商品が中国産だった可能性が高いとして、該当商品の自主回収措置をとると発表しました。

『ふえるわかめ』:950万パック回収 中国産の可能性で」 2010年7月23日 毎日新聞
 
 理研ビタミンとしても故意に中国産を使用したわけではないでしょうが、仕入のチェック体制が甘くなかったか十分な検証が必要となるでしょう。この点は製造業に限らず多くの企業において他山の石とすべき問題と思います。
 私は偽ブランド商品(主に商標権侵害品)を販売した小売店に警告書を送ることがよくありますが、故意にニセモノを販売したのでないとしても、仕入の段階で商品の信頼性について十分な確認を行っていない店が非常に目立ちます。多くの店では「真正品である」という仕入先の説明をうのみにし、商品の来歴を示す取引書類さえ確認していないのです。ブランド、産地、その他一定の規格を満たしていることを前提にして商品や原材料を仕入れている企業は、この機会にチェック体制が機能しているか確認してみてはいかがでしょうか。

 さて、この偽装わかめの事件で困ったのは理研ビタミンだけではありません。鳴門わかめに関わる方々は相次ぐ産地偽装とそれに伴うブランドの信頼性失墜に頭を痛めています。鳴門市内のワカメ加工業者などでつくる「鳴門わかめブランド対策部会」は臨時総会で「法律に違反した場合は自主廃業するという誓約書を提出させる」等、厳しい再発防止策を決めたようです。

鳴門わかめ 偽装防止向け誓約書提出へ」 2010年07月30日 asahi.com

 この事件で感じたのは、いわゆる地域ブランドには多くの関係者が存在するため、そのうちの一部の者がブランドを濫用し、他の関係者に損害(ブランドの毀損等)を与えてしまう危険も高いのだということです。今回のような産地偽装は論外ですが、例えば、一定の材料と方法で作られることを前提とした郷土料理を地域ブランドとして売り出した場合に、一部の業者が皆で決めたレシピを守らないでトラブルになるといったことも十分あり得るでしょう。地域団体商標制度の導入以来、多くの地域ブランドが地域団体商標としての登録にも成功していますが、そのようなトラブルが生じる可能性も考慮して関連規定(使用基準、違反に対する制裁等)を整備しておくべきではないかと思いました。  

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