2010/09/29

偽装表示をしてでも売上げを伸ばしたい方へ

株式会社東京商工リサーチが「 『コンプライアンス違反倒産(食品偽装)』状況調査」というレポートを発表しています。これによれば、近年、産地偽装や消費期限の改ざん等の食品偽装が原因で倒産にまで至るケースが目立っているとのこと。同レポートも指摘しているように食品偽装に対する消費者の目が厳しくなっているということなのでしょう。

個人的には偽装表示を行うことによるリスクは今後ますます高まっていくと考えます。消費者の目が厳しくなることもさることながら、行政や競業者が法的アクションを起こす例が多くなると思われるからです。

例えば、先日、消費者庁が公表した景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要(→こちらからPDFで入手可)を見ても、国や自治体が偽装(不当)表示について積極的にアクションを取りつつあることが見て取れます(ちなみに、ほとんどが食品に関する事例のようです)。

また、弁護士の増加により法的サービスへのアクセスがしやすくなってきていますから、例えば不正競争防止法2条1項13号(原産地等誤認惹起行為)などを根拠に虚偽の商品表示をしているライバル業者を訴える企業も多くなるのではないでしょうか。各地で登録が進んでいる地域団体商標も産地偽装に対抗する強力な武器となりそうです。

法的・道徳的にはもちろんですが、経営的観点からも偽装表示は賢い選択ではなさそうですね。

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2010/09/24

泣く子とインターネット事業者には勝てぬ?

動画共有サイトYouTubeが十分な著作権保護措置をとっていないとして、スペインのテレビ局が違法コンテンツの削除などを求めていた訴訟で、マドリードの裁判所はテレビ局側の訴えを退けたそうです。サービス利用者による知的財産権侵害行為を防止するネットサービス事業者の義務については、限定的にとらえるのが世界的な傾向のようですね。


『YouTubeに違法コンテンツの責任はない』、スペインの裁判所が判断」 2010/09/24 ITpro


このような傾向を受けたものでしょうか。楽天株式会社のニュースリリースによれば、高級ブランド、ルイ・ヴィトンと楽天株式会社は楽天オークションにおける偽造品流通撲滅対策について覚書を締結するに至ったそうです。


楽天、ルイ・ヴィトンと偽造品撲滅対策で覚書を締結」  2010/09/24  日経プレスリリース


ちなみにルイ・ヴィトンは昨年12月ににヤフー・ジャパンとも同様の覚書を締結しています。


ヤフー・ジャパンとルイ・ヴィトンが偽造品撲滅対策での協働を合意」  2009/12/04  ヤフー株式会社


もはや知的財産権を保有する企業は、ネットサービス事業者とは対立せず、むしろ協力し合った方が得策なのだということなのかもしれません。


私もインターネットのサービスを享受している一人として、ネット事業者側の義務をある程度限定的に捉えることに異論はないのですが、上記スペインの裁判の記事中にあるGoogle側の主張:

・・・YouTubeには毎分24時間分の動画が投稿されており、もしすべての動画や写真、テキストを投稿前に検閲することが義務づけられれば、YouTubeだけでなく、FacebookやTwitter、MySpace.comといったサイトは、すべてサービス停止に追い込まれる・・・

などを読むと、何やら既成事実を作ってしまった者が開き直っている感じがして、釈然としない気持ちも残ります。皆さんはいかがですか。

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2010/09/15

食べログが提訴された件について思う

数日前の話になってしまうのですが、インターネットのグルメサイト「食べログ」が提訴されたというニュースがありました。

食べログ記事削除求め カカクコムを提訴」 2010年09月10日 asahi.com 

掲載された店舗情報が更新されず、現状とは違う内容を無断掲載されたのは営業妨害だとして、飲食店経営者が、同サイトを運営するカカクコムに対して、記事の削除などを求めて提訴したものです。

以前の投稿(「ネットオークション:運営者側の偽造品対策に思う」)でも少し触れたのですが、ネット上のサービスというのは、必要な作業の多くを利用者自身に行わせ、運営者は基本的にシステムを提供するのみであることが多いですよね。運営者にしてみれば「それこそがネットを使った事業のうまみなのであり、いちいち利用者の利用態様(本件では飲食店に関する投稿内容等)に問題がないか詳しくチェックする義務を負わされては事業が成り立たない」ということになるのでしょう。一方で、問題のある投稿等が放置されることで困る人たちが出てくるというのも容易に想像できるところです。両者の利益を考慮したバランスのとれたルールが必要と思われます。

そのようなルールが確立するためには、今のところ本件のような裁判によって判例が蓄積していくのを待つより他にありません。スピードが重視されるインターネットの世界なのですから、立法によって早期に明確なルールを策定するべきではないかと個人的には思うのですが、皆さんはどう思われますか。

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2010/09/08

マジコン業者、いよいよ窮地に?

本ブログでも度々取り上げている改造ゲーム機の問題(「『おまけ』を付けたばっかりに・・・」、「Wiiに続いてPSPも」、 「引き続き改造ゲーム機の摘発に関して」)ですが、文化庁長官の諮問機関である文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会が、規制の強化に向けて検討を開始したようです。色々なメディアが取り上げていますが、私がネットで見つけた中では次の記事が比較的詳しく報じているようですので、興味のある方はご一読下さい。

『マジコン』の規制強化目指し著作権法改正へ――文化審」 2010年9月7日 PC Online

この問題に関する車の両輪ともいえる著作権法と不正競争防止法の双方を改正していかなければならないので、不正競争防止法の担当官庁である経済産業省との調整も必要になってくるようです。知財立国を標榜する日本なのですから縦割り行政に陥らずに早期の対応をお願いしたいものですね。せっかく弁理士が首相をやっているのですから、官邸にも積極的に調整してほしいと思います。もっとも、その前に首相が代わる可能性もかなりあるわけですが・・・。

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2010/09/06

ネット上の偽ブランド品・海賊版に益々注意が必要

警察庁が「平成22年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況について」という資料を発表しています(こちらでPDF版を入手可能)。いわゆる偽ブランド品や海賊版の事件も「知的財産権侵害事犯」として、ここに記載されています。

同資料によれば、知的財産権侵害事犯の検挙事件数は214 事件(+38 事件、+21.6%)、検挙人員は298 人(-26 人、-8.0%) と、前年同期比で事件数は増加し、人員は減少しており、これはインターネット利用の単独犯の検挙が増加したことによるものと考えられるそうです。

下記グラフは同資料から引用したものです。これを見ても、偽造品の販売においてインターネットの果たす役割の大きさがよく分かります。

権利者側としては、インターネット上での権利侵害に注意を払うことが益々重要になっているものと思います。

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2010/09/03

税関の努力を逆手に取る人たち

毎日新聞(大阪)に「空港物語」というシリーズ記事があります。空港で働く様々な職業の人々を描くもののようですが、9月2日付の記事では税関の知的財産調査官が取り上げられていました。

空港物語:/39 知的財産調査官 /大阪」 2010年9月2日 毎日新聞

我が国への知的財産権侵害物品の流入を水際で防ぐために、税関職員の方々が努力されている様子がよく分かります。

ところで、偽ブランド品を扱う業者に警告を行うと、時々、こんな税関職員の方々の努力を逆手に取ったような主張をする者がいます。よくある彼らの言い分はこうです。

「偽造品は税関でチェックされているんだろう!うちの商品はちゃんと通関して日本に入ってきたんだぞ。ニセモノのはずがないじゃないか!」

もちろん、こちらは相応の根拠があって警告しているわけで、そんな反論に対して「なるほど、そうですね。」などと言うわけがありません。

そもそも知的財産侵害物品に関する税関での検査は全ての輸入貨物を対象に行われるわけではありません(そんなことをしていたら時間と人員がいくらあっても足りません)。また、上記記事にもあるように、怪しいと思われる貨物があっても権利者から申立がなされていない商品であれば検査しないこともあります。更に、検査されたとしても税関職員が完全に知的財産権侵害物品を排除できるわけではありません。税関職員とて商品に関するあらゆる情報を提供されているわけではないからです。したがって、商品が無事に通関したとしても、そのこと自体は真正品であることの証明には全くならないのです。

というわけで、もし偽造品業者の方が本ブログを読んでいるならば、弁護士から警告を受けた場合、上記のような言い訳はなるべくやめて頂きたいと思います。双方にとって時間の無駄になる可能性が高いと思いますので。

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2010/09/02

豚骨ラーメン激戦区:「元祖」が「元祖」を訴え、元祖が静観?

弁護士業界も最近は競争が激しくなってきているのですが、こんな記事を読むとまだまだ他の業界ほどではないなと思います。

「元祖長浜」の争い法廷に、豚骨ラーメン激戦区に火花 2010.09.02 zakzak

記事が今ひとつ分かりにくいのですが、私の理解では次のような事案のようです。
  1. 老舗人気店「元祖長浜屋」(以下、「訴外元祖」といいます)で20年以上勤めた元従業員が2009年12月に「元祖ラーメン長浜家」(以下、「原告元祖」といいます)を開業 
  2. 訴外元祖及び原告元祖で働いていた別の元従業員が今年4月、原告元祖の店から約100メートル離れた場所に「元祖ラーメン長浜家」(以下、「被告元祖」といいます)を開業 
  3. 被告元祖を原告元祖と誤解して客が流れたために売上げが著しく減少したとして、原告元祖が被告元祖に対して不正競争防止法違反を理由に訴え提起
記事には書いていないので私の推測ですが、原告元祖の主張する「不正競争防止法違反」とは同法1条1項2号違反と思われます。ざっくり言えば「他人の営業を表示するものとしてお客さんの間に広く認識されている表示と同一又は類似の表示を掲げて営業することにより当該他人の営業と自分の営業の間に混同を生じさせてはいけない」という規定です。

根拠条文に関するこの推測が正しいとすれば、原告元祖が勝訴するためには、まず「元祖ラーメン長浜家」という表示が自己の営業を示すものとしてお客さん達の間に広く認識されていることを立証しなければなりません。しかし、この事実の立証はなかなか難しいのではないかと他人事ながら少し心配です。というのは、記事からすると、この地域における本当の意味での「元祖」なのかもしれない訴外元祖が別に存在するからです。もしかしたら、原告元祖の使っている「元祖ラーメン長浜家」の表示は原告元祖の営業を示すものとして広く認識されていないばかりか、むしろ訴外元祖の営業表示であると認識されている可能性も大いにあるのではないでしょうか。もしそうなら、原告元祖は勝訴できないばかりか、そもそも自らが他人の営業表示を使用しているのだと公の場で指摘されることになりかねません。

いずれにせよ非常に興味深い事案です。続報を待ちたいと思います。

追記:以上はzakzakの記事を読んだ限りでの単なる感想であり、当該訴訟における当事者の有利不利について論ずるつもりは全くありませんので念のためお断りしておきます。そもそも有利不利を論ずるにはzakzakの記事に記載の情報だけでは全く足りません。その意味でも事案の詳細について続報が待たれるところです。(2010年9月3日追記)

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