2011/11/19

輸出の差止申立も可能です

経済産業省が中小企業に国境を越えた電子商取引(越境EC)の利用を促すそうです。

「経産省、中小のサイト利用支援-ネットで海外販売促進」日刊工業新聞 2011年11月18日
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201111180008.html

上記記事によれば、中国の消費者が日本のECサイトで購入する額は2020年には最大で1兆2581億円に達すると予測されているとのこと。何でも中国の消費者の間では、日本のECサイトでの購入が中国国内で買うよりも商品の品質が良い点や偽物が少なく安全性が高い点などが評価されているのだとか。でも、それを逆手をとって日本からECサイトで偽物を売ろうとする人たちがきっと出てくるんでしょうね。

と、そこで有用になってくると思われるのが輸差止申立制度です。先日の投稿(「税関での輸入差止をオススメするこれだけの理由」)でご紹介した輸差止申立のいわば逆バージョンですね。知的財産権を保有する権利者は、自らの権利を侵害する「偽物」が輸出されないように水際で差止めてもらえるよう税関に申請することが可能です。税関のHPによると今のところ受理されている申立は2件のみのようですが、これからどんどん増えるのではないでしょうか。

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2011/11/09

TPP交渉 参加することに異議がある

ブログの趣旨にはあまり関係ないかもしれないのですが、最近話題のTPPについてごく簡単に。

2011年11月8日付朝日新聞社説 「どうするTPP―交渉参加で日本を前へ」
http://www.asahi.com/paper/editorial20111108.html

朝日を例に挙げましたが他の大マスコミも、とりあえず交渉には参加をというスタンスのところが多いみたいですよね。私としてはTPPについて賛否を語れるほど情報がないのですが、「とりあえず参加しないとルール作りに関与できない」という主張には「今さら参加しても、どのみちルール作りにはそれほど関与できないんじゃ?」と思ってしまいます。

米国のTPP担当官庁のサイトを見ると次のように書いてあります。
「The TPP members have set a goal of reaching the outlines of an agreement by the APEC Leaders’ meeting in Honolulu in November. 」
http://www.ustr.gov/tpp

つまり既に交渉に参加している国々は11月のAPECまでにアウトラインを決めようとしているわけで、その時に日本が参加しても交渉の余地はそれほど残されていないんではないかなと。それならいっそ全てが決まって条文が確定してから協定に参加するか否かをじっくり検討すればいいんじゃないんですかねぇ。素人考えでしょうか。

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2011/10/03

税関での輸入差止をオススメするこれだけの理由

久しぶりに本ブログのメインサイトである偽造品対策情報室のコンテンツを検討してみたら、意外と税関での手続に関する記述が薄いことに気づきました。メインサイトは追って更新するとして、とりあえず輸入差止について簡単にここへ記しておきます。


1.税関での輸入差止って?

知的財産権(不正競争防止法に基づく権利含む)に基づいて、侵害品が輸入されるのを税関で止めてもらうための制度です。次のサイトもご参照ください。http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm


2.メリットは?

(1) 国内市場への流入阻止

 国内へ輸入される段階で差止められるため、国内市場への偽物の流入を水際で阻止できます。

(2) 国家権力による強力な監視・排除

 税関という政府機関が国家権力をもって侵害品を監視し、迅速な手続のもとで、これを排除してくれます。悪質な事案については税関からの告発により警察が刑事事件として取り締まりを行うこともあります。

(3) 情報収集機能

 輸入差止が受理された後は、税関で発見された疑義貨物に関して税関からの通知の形で様々な情報(輸入者、輸出国、数量等)が権利者にもたらされます。その後の偽物対策に有益な情報となるでしょう。

(4) しかも低コスト

 税関に対して手数料等を支払う必要はありません。


3.申立の方法は?

所定の申請様式を用いて税関へ申立を行うことが必要です。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/j_001.htm

具体的な記載例はこんな感じです(商標権に基づく申立の例、リンク先はPDFファイル)。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/syouhyou.pdf

申立の際に特に重要なのは本物(貴社製品)と偽物の識別ポイントを分かりやすく記載することです。具体的な記載例はこんな感じです(商標権に基づく申立の例、リンク先はPDFファイル)。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/syouhyou2.pdf


スムースな申立にはコツがあります。ご興味のある企業様はお気軽にご相談ください。→Contact

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2011/08/01

コンバース・シューズに関して何かあったんでしょうか?

コンバース・シューズに関して何か動きがあったらしく、コンバース訴訟について取り上げた過去の投稿(「並行輸入のリスク -高すぎる授業料-」「再び、コンバース訴訟について 」)へのアクセス数が急に跳ね上がりました。せっかくご訪問頂いているので、感謝をこめて私なりに商標権と並行輸入の問題について以下のとおりまとめてみました。よろしければご参考まで。

(設例)

-A社が米国で靴に関して「甲」という商標を保有している。 
-B社が日本で靴に関して「甲」という商標を保有している。
-C社が「甲」商標付きのA社製靴を米国から日本へ輸入した。


1.原則

C社の輸入行為はB社の許諾を得ていない限りB社の商標権を侵害し、違法。
B社はC社の輸入を差し止めることが可能。


2.例外:真正品の並行輸入

(1) 判例

判例上、以下の条件が全て満たされる場合には適法な並行輸入として商標権侵害とならない。

(a)当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものである。

(b)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである。

(c)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価できる。

上記判例の言い回しは分かりにくいが、誤解を恐れずに簡略化すれば概ね以下のようにいえる。

(a)輸入しようとする商品が外国における商標権者(又はその許諾を得た者)が製造した真正品であること(商品の真正性)

(b)外国における商標権者と日本における商標権者が同一人であるかそれと同視できるような法律的・経済的関係にあること(内外権利者の同一性)

(c)輸入しようとする商品と日本における商標権者の商品がその品質において実質的に差異がないこと(内外商品の品質の実質的同一性)

もっとも、上記要件(b)が認められる場合、比較的容易に要件(c)も認められる傾向にある。したがって、実際上特に重要なのは、商品の真正性と内外権利者の同一性である。

(2) 設例の場合

輸入しようとしている商品はA社製であるから要件(a)は満たされている(但し、裁判になれば輸入者がその点も立証しなければならない)。問題は、A社とB社の間に実質的同一性が認められるか(要件(b))である。例えば、B社がA社の子会社である、B社がA社の日本における総輸入代理店である等の事情があればよいが、全く無関係の会社であればこの要件を満たさない。その場合、上記1.の原則どおり、C社の行為は商標権侵害ということになる。


3.コンバース・シューズの場合

知財高裁の判断によれば、米国における商標権者(米コンバース社)と日本における商標権者の間には実質的に同一人と認められるような関係がない(上記要件(b)を満たさない)。したがって、上記2.の例外論は成り立たない。ゆえに米コンバース社のコンバース・シューズを日本に輸入すると、上記1.の原則論どおり商標権侵害となる。


4.並行輸入を行う方々が留意すべきこと

並行輸入の適法性が上記のとおり例外論の上に成り立つものであることを認識し、自らの扱う商品が例外要件(上記(a)~(c))を満たしているかについて常に注意を払うべき。以前は要件を満たしていたのに、状況の変化によって不適法となることもあり得ないことではない。例えばコンバース商標の場合、昔は日米の商標権者が同一だったが、米コンバース社の倒産等を経て、現在では日米で別の法人が保有するに至っている。すなわち、ある時期から上記要件(b)が満たされなくなったものである。

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2011/06/21

三か月ぶりに・・・

お久しぶりです。震災後、三か月以上ブログを更新していませんでした。

自分でも理由はよく分かりませんが、その気にならなかったのです。

震災や原発のことで色々と思うことはあるのですが、それを書くのはこのブログの趣旨にそいませんし、かといってそれ以外のことを時間をかけて書く気にもまだならないんですよね。

いずれにせよ、しばらくは更新間隔がだいぶ長くなりそうです。まあ、楽しみにされている方がいるとも思いませんが(笑)。

なお、Twitter(@Yutaka_Nakagawa)ではたまにつぶやいていますので、よろしければ覗いてみてください。

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2011/03/08

メロンの模様を見分けられますか?

最近忙しかったのとブログのテーマにふさわしいネタが見つからなかったのとで、すっかり更新が止まっていましたが、面白そうなプレスリリースを見つけたのでご紹介しておきます。

個々の果物を写真で識別できる技術を開発」 日本電気株式会社 2011年3月7日

前回の投稿(「元素までは偽装できない」)で同位体の分析を産地偽装の解明に用いているという事例をご紹介しましたが、上記の技術ははもっと単純に、果物の外観を撮影して表皮の模様を基に個々を識別し、産地偽装等の防止に役立てようというもの。「メロン約1800個を市販の携帯電話内蔵カメラで撮影して行った実験で、偽物を本物と間違える確率100万分の1、本物を偽物と間違える確率は0.4%」というレベルにまで達しているそうです。スゴイですよね。

要は個体ごとに異なる模様があれば識別できるのでしょうから、将来的には果物以外にも応用できるんでしょうね。水産物だったらサバなんか独特の模様があるのでいいかもしれません。ブランド魚「関サバ」のニセモノを店頭で撮った写真を使って発見なんて日も来るのでしょうか。楽しみです。

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2011/02/17

元素までは偽装できない

以前の記事でテュフ ラインランド ジャパンという会社が同位体の分析により農産物の産地を明らかにするサービスを提供していることを書きました(つや姫を食べてみた  山形のサクランボと山梨のサクランボを見分けられますか? )。昨日、朝日新聞の記事で同じく同位体の分析を産地偽装の解明に用いているという事例を見つけましたのでご紹介しておきます。

産地偽装解明、元素に聞け サンプルと照合、立件に一役」 2011年2月16日 asahi.com

サービスを提供しているのは、その名もズバリの「同位体研究所」という機関のようです。同研究所のウェブサイトはこちらですので興味のある方はご一読を。

さすがに偽造業者も元素まで偽装するのは困難でしょう。偽造品・ニセモノに悩むブランド食品の関係者は知っておいた方がよい手法と言えそうですね。

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2011/01/30

「偉大なる団結力」は誰に?

皆さん、サッカーのアジアカップ決勝戦はご覧になりましたか。日本代表の素晴らしい勝利でしたね。ザッケローニ監督は試合前の会見で何度も「Grande Compattezza(グランデ・コンパッテッツァ=偉大なる団結力)」と口にしていたそうですが、まさに団結力の勝利だったのではないかと思います。

さて、この「Grande Compattezza」という言葉ですが、いい言葉だなと思ったのは私だけではないようで、Twitterなどでも多くの人が取り上げているようです。少し発音しにくいので流行語大賞とまではいかないでしょうが、それなりに流行るのではないでしょうか。と、そうすると便乗しようと考える人は必ず出てくるわけで、色々な商品やサービスの名前にこれを使おうとする動きがあるでしょうね。さっき特許庁の特許電子図書館の商標データベースでざっと調べたところでは、まだ商標の出願・登録はされていないみたいですが、明日は月曜なのであるいは多数の出願が行われるかも。

ところでこの言葉、個人的には民主党内で流行って欲しいです。もちろん団結して立ち向かってほしいのは野党に対してではなく、不況その他の困難に対してなわけですが・・・。

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2011/01/23

つや姫を食べてみた

「つや姫」という米をご存知でしょうか。山形県が今さかんにPRしている新品種です(→公式サイト)。先日食べてみましたが噂に違わずおいしかったです。機会があれば是非お試しください。

さて山形の農産物といえば、やはりサクランボを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。以前、このブログでも取り上げたことがあります(「山形のサクランボと山梨のサクランボを見分けられますか?」)。山形のある農園のサクランボに、テュフ ラインランド ジャパンという会社が提供している認証サービスが導入されたことを書いたものです。そのサービスは「農産物中の軽元素の安定同位対比を分析する手法により原産地や生産履歴を明らかにすることができる」というものらしいのですが、記事を書いた当時は情報源が同社のプレスリリースのみだったのでサービスの詳しい内容がよく分かりませんでした。そのうち調べようと思って忘れていたのですが、最近、同社のウェブサイトパンフレット(PDF版)を見つけましたのでお知らせしておきます。それによれば微量な元素の違いにより栽培地の違いも知ることができるとのこと。コストにもよるでしょうが、産地偽装防止(または摘発)のための有力な手段になるかもしれません。

「つや姫」に限らず各地で農産物のブランド化を図られていますが、ブランド化に成功すれば必ず発生するのがニセモノです。ブランド化のためのPRももちろん重要ですが、ニセモノ対策も早めに考えておきたいですね。

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2011/01/18

遅ればせながら

明けましておめでとうございます・・・と言うには少し遅すぎますね。それでも今年最初の投稿なので抱負のようなものを書いてみようかと思います。

本ブログを立ち上げた頃の投稿でも書きましたが、実は自社製品のニセモノが存在することを知りながら放置している企業がかなりの割合で存在します。その理由は様々でしょうが、放置することによるリスクを正しく認識していない、対策をとろうにも具体的な方法やコストについての知識がない等、情報不足が一因なのではないかと思います。

そこで偽造品・模倣品への対策について情報を発信し、対策開始の一助としてもらおうと考えたのが「偽造品対策情報室」や本ブログを始めたきっかけでした。アクセス解析によれば、幸いなことに全国各地(たまには海外も)の方に読んでいただいているようで、意図していた目的はある程度達せられてきているのかなと自負しています。しかし、できれば今年は一歩進んで、サイトを見て対策の必要性を認識された企業・団体からご相談を受け、より直接的にお手伝いができればよいなと思っております。是非、サイトのContactフォームなどからお気軽にお問合せ下さい。

何やら抱負というより宣伝のようになってしまいましたが、今年も本ブログをよろしくお願いいたします。

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